アルゼンチンワインの品質を世界最高峰のレベルへと引き上げた先駆者、ボデガ・カテナ・サパータが手がけるスタンダードキュヴェが、このカテナ マルベックです。かつてはブレンド用の脇役とされていたマルベックという品種の潜在能力を見出し、世界を驚かせるエレガントなワインへと昇華させたワイナリーの歴史と情熱が、この一本に見事に凝縮されています。
① 歴史・背景(創業・蔵元・ブランドの歩み)
ボデガ・カテナ・サパータの歩みは、1902年にイタリアからアルゼンチンへ移住してきたニコラ・カテナ氏が、メンドーサで最初のマルベックを植えたことから始まりました。大きな転機となったのは、3代目のニコラス・カテナ氏の時代です。彼は1980年代にカリフォルニアのナパ・ヴァレーを訪れた際、現地の最先端のワイン造りに強い衝撃を受けました。そしてメンドーサに戻ると、当時の大量生産型のワイン造りを刷新し、高品質なプレミアムワイン造りへと舵を切ります。
特に誰も試みなかったアンデス山脈の麓、標高1,500メートルを超える超高地でのブドウ栽培に挑戦し、世界中に驚きを与えるワインを生み出すことに成功しました。2009年には、ニコラス氏はデキャンター誌の「マン・オブ・ザ・イヤー」に南米の生産者として初めて選出されるなど、その品質至上主義の哲学は世界中で高く評価されています。
② ブランド・思想・位置づけ
カテナ・サパータは、アルゼンチンにおけるプレミアムワイナリーの代名詞であり、メンドーサのワイナリー自体もマヤ文明のピラミッドを模した象徴的な建築として有名です。彼らの根底にある思想は「テロワールの探求」です。現在はニコラス氏の娘であるラウラ・カテナ氏が中心となり、独自の研究所を設立して区画ごとの土壌や微気候がブドウに与える影響を科学的に研究しています。
そのラインナップの中でカテナ マルベックは、カテナ家が所有する複数の高標高の畑から収穫されたブドウを巧みにアッサンブラージュ(ブレンド)して造られます。これは、単一畑の個性を追求する上級キュヴェとは異なり、メンドーサという土地のプレミアムなマルベックの魅力を、最もバランスよく表現するという思想のもとに位置づけられた重要なベースラインです。
③ 酒質・味わい・特徴
グラスに注ぐと、中心部は深みのある濃いバイオレットで、縁にかけて美しい青みがかった黒色を呈する艶やかな色調が目を引きます。香りは非常に華やかで濃縮感があり、熟したブラックチェリーやプラム、カシスなどの黒系果実のアロマが溢れ出します。そこにマルベック特有の繊細なスミレのようなフローラルなニュアンスが重なり、樽熟成に由来するバニラやモカ、かすかなタバコやなめし革のスパイスが複雑さを与えています。
口当たりは非常に豊かで艶やかです。凝縮された果実味とともに、高標高の畑ならではの引き締まった綺麗な酸味がしっかりと存在しているため、フルボディでありながら重苦しさを感じさせません。タンニンは非常にキメが細かく、ヴェルヴェットのように滑らかで、心地よい余韻へと優雅に続きます。
④ 評価・支持される理由
カテナ マルベックが世界中で支持される理由は、その圧倒的なコストパフォーマンスと、初心者から愛好家までを魅了する間口の広さにあります。濃密で分かりやすい果実味を持ちながらも、上品な酸と滑らかな渋みがあるため、エレガントなスタイルを好むワインファンからも高く評価されています。おすすめの飲用シーンは、週末の少し贅沢なディナーや、友人たちを招いたホームパーティーです。
ペアリングとしては、やはりアルゼンチンの定番である赤身肉のステーキやローストビーフ、ラムチョップのグリルなど、しっかりとした肉料理と抜群の相性を見せます。また、少しスパイスを効かせたポークソテーや、ハード系の熟成チーズとも美味しく合わせていただけます。
⑤ 総括
一言で表すならば、アンデスの冷涼な風と太陽が育んだ、エレガントで気品溢れるアルゼンチン・マルベックの教科書と言えるワインです。
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