① 歴史・背景(創業・ブランドの歩み)
『ムートン・カデ』は、シャトー・ムートン・ロスチャイルドのオーナーだったフィリップ・ド・ロスチャイルド男爵が1930年に生み出したボルドーワインです。当時28歳だった男爵は、複数のテロワールからワインを造るという新しい発想を取り入れ、自らのブランドとしてムートン・カデを誕生させました。
1988年には娘のフィリピーヌ・ド・ロスチャイルド男爵夫人が事業を継承。1993年にはサン・ローラン・メドックに専用のワインセンターを開設するなど、品質管理とブランド展開を強化しました。現在はフィリップ・セレイス・ド・ロスチャイルドら次世代が、環境への配慮や生産者との連携を進めています。
② ブランド・思想・位置づけ
「ムートン・カデ」の「ムートン」は一族のポイヤックのエステート、「カデ」はフランス語で「末っ子・弟」を意味します。フィリップ男爵が家族の次男だったことに由来する名前です。
現在のムートン・カデは、単一シャトーのワインではなく、ボルドー各地のテロワールを組み合わせてブランドとしてのスタイルを表現しています。生産者と醸造チームが連携し、区画選定から醸造まで管理することで、果実味やエレガントさのバランスを追求しています。
2023年のルージュはHVE(環境価値重視認証)に対応した生産者のブドウを使用しています。
③ 酒質・味わい・特徴
『ムートン・カデ ルージュ 2023』は、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランをブレンドした赤ワインです。メルロが果実味と丸み、カベルネ・ソーヴィニヨンが力強さと骨格、カベルネ・フランが繊細さとエレガントさを担っています。熟成はタンクで澱とともに10か月行われます。
香りは熟した赤系・黒系果実が中心で、サフランやローズマリーを思わせるニュアンスも感じられます。口に含むとラズベリーやブルーベリーの豊かな果実味が広がり、タンニンはやわらか。余韻には甘いスパイスやハーブの風味が残ります。
ボルドーらしい骨格を持ちながら、渋みや重さを前面に押し出すタイプではありません。丸みのある果実味を中心にまとめた、比較的親しみやすいスタイルです。
④ 評価・支持される理由
ムートン・カデは1950年代からレストランのワインリストに採用され、その後イギリスやアメリカへ市場を広げてきました。現在では100か国で展開される、国際的なボルドーワインブランドへ成長しています。
ルージュ2023は、ボルドーブレンドらしい果実味とタンニンを楽しみつつ、気負わず飲める赤ワインを探している人に向いています。公式ではボロネーゼやマスタードを使ったローストチキンなどとのペアリングが提案されており、肉料理を中心とした普段の食卓にも合わせやすいでしょう。適温は15~17℃です。
⑤ 総括
『ムートン・カデ ルージュ 2023』は、1930年から続くロスチャイルド家のブランド哲学を、現代的で親しみやすいスタイルに仕上げたボルドー赤ワインです。豊かなベリー系果実とやわらかなタンニン、スパイスやハーブの余韻を楽しめる、ボルドーワインの入口にも選びやすい1本です。
レビュー
1
渋み控えめな赤ワイン
ベリー系の果実っぽい香り。少しツーンとした赤ワインらしい香りも強め。
口に含むと、これまで飲んだワインより少しとろっとした印象。酸味はあるものの、渋みは比較的控えめでまろやか。
ただし、お子さま舌編集長にはそれでも十分渋い。そして苦い。
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